「温泉」についての豆知識や、よくある疑問などについてまとめています。

そもそも「温泉」とは?

「温泉」と言えば、地下から湧き出る温かいお湯というイメージですが、法律上は、温泉法が、地下から湧出する水で、温度が25度以上のもの、または一定の温泉としての成分物質を規定値以上に含んでいるもの、または、一定の含有割合(1000mgあたり1g以上)で含んでいるものと定義しています。

また温泉のうち、特定の温泉物質の含有量が特に高い場合は、「特に治療の目的に供し得るもの」として「療養泉」と呼ばれます。

温泉の起源・発祥

温泉のはじまりの時期は定かではありませんが、日本書紀などの古い書物に「天皇の温泉行幸」にまつわる記述があり、奈良時代には既に広く「温泉」の存在が知られていたようです。
日本は地形的に火山帯の上にあり、火山性の温泉が多いことから、その存在が歴史的にも早くから知られていたものと推察されれます。
現在、日本の温泉地は3000、源泉地は2万7千ほどあるとされており、その数からも温泉は日本の文化の一つと言えます。
先述の書物の記載から、玉造温泉(島根県)、有馬温泉(兵庫県)、道後温泉(愛媛県)、白浜温泉(和歌山県)、秋保温泉(宮城県仙台市)などが古来より知られていた温泉地と考えられます。

世界的には、温泉の利用が紀元前の3000年代のエジプトで確認されており、古代ローマの温泉地の発達なども有名です。
ただ、世界での温泉の利用は、病の療養や怪我の治療目的、遊興目的での入浴(泳ぐなど)、飲泉(温泉を飲む)などが主要の目的となっており、
日常的な休養・寛ぎの場としての温泉入浴は、日本独自のものでした。現在は、日本的な温泉の利用が世界的にも広がっています。

日本の三名泉

日本の温泉地のうち、有馬温泉(兵庫県)、「草津温泉(群馬県)」、「下呂温泉(岐阜県)」の3つは「日本三名泉」と呼ばれています。
温泉地で有名な別府温泉が入っていないのを意外に思われるかもしれませんが、これは、日本の儒学者の林羅山の文献に「天下の三名泉」という記述があることに由来しています。三名泉ではなくとも泉質の優れた温泉は日本各地にたくさんあるということですね。日本は火山列島ですから。

なぜ温泉あがりは湯冷めしにくいのか?

温泉に入った後は、家でお風呂に入った時に比べて湯冷め(ゆざめ)しにくいという声がよく聞かれます。
こうした声の検証のため、実際にお風呂上がりの体温の変化を測ったところ、たしかに温泉に入った場合の方が、湯上り後の保温効果が高いことがわかりました。
その理由ですが、温泉に含まれている成分が皮膚の表面に浸透し、薄い皮膜のようなものを形成することで、保温の維持効果が高まるということのようです。なお、温泉の中でもこの保温性が特に良いのが、ナトリウム-塩化物泉だそうですよ。

温泉で頭にタオルを載せるのはなぜ?

温泉やお風呂に入った時、頭の上にタオルを載せる光景をよく見ますね。
タオルを置く場所が無いから頭にのせているとも思えますが、実が理由が諸説あったりします。その一つは、熱いお風呂はのぼせやすいので、水で絞ったタオルを頭に載せて、頭を冷やしてのぼせ予防をするためという説もありますよ。のぼせやすい方はぜひ試してみてくださいね。

温泉旅館には、客室に甘いお菓子が置いてあるのはなぜ?

温泉旅館に行くと、客室の机に甘いお菓子が添えられていることが多いですよね。もてなしで置いているだけ?とも思えますが、実が、温泉に入浴されるお客様への気遣いだったりします。
温泉に入ると、血糖値が低いと、急激な温度の変化でのぼせたり、貧血など体調が悪くなる可能性も有ります。そこで、温泉に入る前に甘いお菓子を食べておくことで、体の血糖値を少し上げておき体調不良を予防しようという、体への気遣いなのですね。
温泉旅館では、まず茶菓子でひと団らんしてから温泉に入浴がベストですね。同様の理由から、空腹状態で温泉に入ることはあまりお勧めできません。

温泉の効果

温泉が、怪我の治療などに効果があることは古来からの民間伝承や経験則のとより知られてきました。
現代においては客観的な成分の分析など温泉の研究が進み、医学レベルで治療法としての温泉療法が認められる段階に至っています。
具体的な温泉の効能については、特定の温泉成分の多寡によって分類される泉質によって変わってきます。

泉質効能温泉地例
単純泉一般適応症道後温泉・伊東温泉・浅間温泉・塩原温泉・小原温泉・飯坂温泉・他
二酸化炭素線一般的適応症のほか、高血圧症、動脈硬化症、切り傷、やけど有馬温泉
炭酸水素塩泉一般的適応症のほか、切り傷、火傷、慢性皮膚病増富温泉・夏油温泉・瀬波温泉・湯股温泉・星野温泉・雄琴温泉
塩化物泉一般的適応症のほか、切り傷、やけど、慢性皮膚病、慢性婦人病、虚弱児童浅虫温泉・熱海温泉・白浜温泉・小浜温泉
硫酸塩泉一般的適応症のほか、動脈硬化症、切り傷、やけど、慢性皮膚病熱海温泉・飯坂温泉・玉造温泉・水上温泉
含鉄泉一般的適応症のほか、月経障害有馬温泉・伊香保温泉
含アルミニウム泉一般的適応症のほか、慢性皮膚病草津温泉・玉川温泉
含銅-鉄泉一般的適応症のほか、月経障害、高血圧症
硫黄泉一般的適応症のほか、慢性皮膚病、慢性婦人病、切り傷、糖尿病。箱根温泉・日光温泉・万座温泉・野沢温泉
酸性泉一般的適応症のほか、慢性皮膚病
放射能泉一般的適応症のほか、痛風、高血圧症、動脈硬化症、慢性皮膚病、慢性婦人病、慢性胆嚢炎、胆石症三朝温泉・増富温泉・恵那峡温泉

おすすめの温泉入浴方法(入り方)

温泉の効果的な入浴方法、楽しみ方の一例になります、ぜひご参考ください。

  • 1.  入浴前に十分に水分補給をしておきましょう。十分に水分をとっておくことで、温泉入浴による発汗効果を高めることができます。
  • 2.  温泉の湯で掛け湯をしてから温泉に浸かりましょう。掛け湯で体の表面の汚れを流し落とすだけでなく、温泉を体に馴染ませます。
  • 3.  最初は半身浴 いきなり全身を湯船につけるのではなく、まず半身浴で温泉を楽しみます。温泉は温度が高い場合が多いですが、急激な保温は体に負担をかけますので、まずは半身浴で体をじっくり温めます。
  • 4.  温泉から上がる際は、シャワーなどで体を流す(上がり湯)はしない。 温泉につかることで、温泉成分が体の表面に付着しています。そのまま上がることで温泉の効果を持続させることが出来ます。
  • 5.  温泉上がりは、休憩でリラックス。 温泉上がりは、ドリンクなどで水分を補給しゆっくりと過ごしましょう。温泉あがりの心地よさによる心身のリラックスで、身体の回復機能を最大限高めることができます。

温泉の用語解説

温泉に関連した用語について解説しています。

「掛け湯」

温泉に入る前に、体にお湯をかける作法を言います。温泉に入る前に体に付いた汗などを流し綺麗にするという意味と、湯船につかる前に温泉に体を慣らすという意味があります。
掛け湯は、大勢の人が利用する共用の銭湯での重要なマナーともなっており、銭湯などでは浴場に入ってすぐの場所に掛け湯用のお湯が設置されていることが多いです。

「源泉掛け流し」

湧き出た温泉に、熱を加える加温や、水を足す加水をせずにそのまま浴槽に流すことを「源泉掛け流し(げんせんかけながし)」と言います。温泉の源泉が、入浴に最適な温度とは限らない為、通常は人が快適に入浴できるように加温・加水をする場合がほとんどです。
草津温泉のように温度を冷ますための「湯もみ」という独特の風習をもつ温泉地もあります。

「湯の花」

温泉の成分が沈殿したものを「湯の花」と呼んだりします。浴槽の端に結晶したり、湯の中に漂ったりします。

「湧出量」

「湧出量(ゆうしゅつりょう)」とは、温泉が湧き出る量のことを言います。一般的に毎分~リットルという記載がされます。

「適応症」と「禁忌症」

温泉の説明記載などによく「適応症」「禁忌症」といく記載があります。「適応症」は、温泉につかることで期待できる効果効能で、「禁忌症」は逆に温泉につかること出る可能性がある悪い症状のことです。逆に温泉に入ることで病状が悪化する可能性のある「禁忌症」

「一般適応症」

すべての温泉(療養泉)で効能があるとされる疾病・外傷の症例のことです。具体的に効能があるとされる症例は、
慢性的な筋肉痛若しくは関節痛又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽度の高コレステロール血症、軽度の喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状、病後の体力の回復、疲労の回復、健康増進
、となります。

「ラドン温泉」

「ラドン温泉」とは、微量のラジウム、ラドンなどの放射性同位体が含まれる温泉で、ラドンが特に多く含まれている温泉を言います。泉質的には放射能泉に分類されます。
放射能による微量の被曝(ラドン被曝)が生じますが、この点については免疫細胞が活性化するホルミシス効果により健康よいとする見解と、否定する見解とで分かれています。

「療養泉」

「療養泉」とは、温泉のうちで、特に治療用途に適した鉱泉のことをいいます。「療養泉」となる基準は、環境省の鉱泉分析法指針おいて規定されており、25℃以上で特定の物質を一定の量含んでいることが条件となります。
療養泉は、その含有物質によって「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「単純温泉」と泉質に区分されています。

「飲泉」

「飲泉(いんせん)」とは文字通り温泉を飲むことを言います。飲泉の効能として、温泉に含まれるミネラル分などが身体に有効に作用したり胃腸の働きを高めたりすることが知られています。、日本には、飲泉の文化が古くからあります。しかし、日本人にとって温泉は浸かって癒されるというイメージが強いので「飲泉」はそれほどメジャーな文化とはなっていません。
他方、ヨーロッパでも「飲泉」の文化が古くから浸透しており、治療としての飲泉文化が発達してきたため、温泉地に設けられた飲泉所での飲泉カップなど、「飲泉」は一般的なものとなっています。
ただし、温泉の成分は様々で、身体の状況や体質によっては飲泉により身体の機能が害される虞もありますので、飲泉は飲泉が許可された飲泉所で注意事項をよく読んで行うようにしましょう。
なお、山梨の真木温泉(まぎおんせん)などでは、飲泉用の温泉水がペットボトルで販売されていたりもします。